どこにピンホールがあるか
わかりますか?

手術用手袋で発生するピンホールの80%以上(※1)が見過ごされている可能性があると言われています。
(※1)参考:Resistance of double-glove hole puncture indication systems to surgical needle puncture Journal of Long-Term Effects of Medical Implants vol.13,2003:85-90
製造由来のピンホール
手術用手袋は厳格な管理下で製造されていますが、工業製品である以上、どんなメーカーでもピンホールの発生を完全に防ぐことはできません。
そのため国際的な検査規格では、出荷時の合格基準として「100枚中1.5枚以下の不良品(※2)」の混入は規格内として容認されています。
つまり、規格に適合した製品であっても「100%完全な製品(不良品ゼロ)」が保証されているわけではないのです。
(※2)参考:*JIS T9107(日本産業規格/Japanese Industrial Standards)ASTM D3577(ASTMインターナショナル)
■着用時間と術式ごとのピンホール発生率
| 時間 | 2〜4時間 | 4〜6時間 | 6〜8時間 |
|---|---|---|---|
| ピンホール率 | 12.6% | 28.6% | 33.4% |
| 科別 | 整形脳外 | 心外 | 泌尿器 | 一般 | 消化器 | 眼科 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ピンホール率 | 25% | 22% | 16% | 8% | 7% | 0% |
参考:手術医学会雑誌26(3) P248-251 2005
使用時に発生するピンホール
ピンホールの発生率は、手袋の着用時間の経過とともに上昇する傾向にあります。また、術式によっても発生率が異なり、整形外科や脳外科が発生率が最も高いとされています。一方、開腹手術と内視鏡手術では比較的低い傾向が見られますが、発生リスクはゼロではありません。執刀医が最も多く、続いて直介看護師において高い発生率が報告されています。
手術用手袋の目的
手術用手袋の目的は、医療従事者と患者の双方における病原微生物の伝搬経路を遮断し、互いの「境界線」となることです。この境界線がなければ患者さまにはSSI(手術部位感染)のリスクが、医療従事者には職業感染の恐れが生じます。現在、新型コロナウイルスの世界的流行を経て感染リスクが広く認知され、手袋着用の重要性が改めて理解されています。

SSI予防と職業感染予防の2つの視点から
ダブルグローブの実施を推奨します
微細なピンホールであっても菌の伝播経路となり得ますが、これを目視だけで発見するのは困難です。
しかし、ダブルグローブにすることでピンホールの発見率が高まり、発見までの時間も短縮されます。
さらに、シングルグローブに比べて血液への曝露量が低減されるため、感染リスクを軽減することができます。
参考:Infection Control & HospitalEpidemiology, Vol.31(1) 2010:498-502